毎月教室で発行しているニュースレターに掲載しているコラムのうち、2022年の分をこちらにも掲載いたします。
2015年8月の掲載開始より2019年までのコラムは、こちらに掲載しております。
2020年のコラムは、こちらになります。
2021年のコラムは、こちらです。
85.「テキストは、ピアノを弾く力をつけるために考え抜かれて作られたもの。」2022年1月号
86.「大きな一歩より、普通の一歩ずつを大切にしよう。」2022年2月号
87.「我が子のピアノのファンでいること。」2022年3月号
88.「春休みには、いつもより少し多めに練習出来たら良いですね。」2022年4月号
89.「意欲を育てるということ。」2022年5月号
90.「歩みを止めないこと。」2022年6月号
91.「発表会までの時間を、がんばる機会に出来たらいいですね。」2022年7月号
92.「急がばまわれ。基礎力は意欲の持続のためにもとても大切です。」2022年8月号
93.「本番でのミスは気にしない。」2022年9月号
94.「実力に見合った曲で、完成度を上げること。」2022年10月号
95.「生活時間や環境、声のかけ方を工夫すること。」2022年11月号
96.「どんな工夫をして練習しているか生徒さんたちに聞いてみました。」2022年12月号
97.「1年の締めくくりにピアノを続けている自分を褒めよう。」2023年1月号
「テキストは、ピアノを弾く力をつけるために考え抜かれて作られたもの。」2022年1月号
ピアノを習うのは、弾けるようになりたくて、上手になりたいからだと思います。自分では意識していなくても、おそらく潜在的にはそう願っていて、その願いを感じたからこそ、保護者の方はピアノを習わせようとお考えになるのでしょう。
では、「ピアノが弾ける」とはどういうことで、「ピアノが上手になる」とは、どういうことなのでしょうか。もちろん様々な考え方があると思いますが、私は、「ピアノが弾ける」とは「弾きたいと思った曲を自分で弾けるようにする力がある」ことで、「ピアノが上手になる」とは、「弾きたいと思った曲を、感じた通りに弾けるテクニックがつく」ということかなと考えています。
ここで大切なのは、「自分の力で」ということですね。例えば1曲だけどうしても弾いてみたい曲があって、その曲だけ弾ければよいのなら、手取り足取り1音ずつ教えて弾けるようにすることは出来ます。でもそれは、他の曲に応用できる力をつけていることではありません。自分の力で読譜をして弾けるようにする力ではないのですね。
自分で弾けるようになる力というのは、様々な基礎力の総合です。そして基礎力を身体にしみこませて磨いていくためには、地道にテキストに向かう毎日の繰り返しが、一番の近道なのだろうと思います。ピアノを弾く力をつけるために考え抜いて作られた形が、テキストなのですよね。
もしかしたらちょっとめんどくさいと感じる人もいるかもしれませんが、テキストの練習はとても大事です。毎日がんばりましょうね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「大きな一歩より、普通の一歩ずつを大切にしよう。」2022年2月号
憧れの曲を今すぐ上手に弾きたいと思う気持ち、とてもよく分かります。そんなことが出来たらきっとものすごく嬉しいですよね。でも現実にはそんな簡単にはいきません。だから毎日コツコツと練習をするのですが、かっこよく弾きたい気持ちが先走って、弾けそうな所だけものすごい勢いで弾いてしまうことが、時々あります。本人は気持ちよく弾いているのだと思いますし、弾いている自分が楽しいというのは、何より大切なことかもしれないとは思うのですが、より美しい音楽への感覚を育てる機会を棒に振ってしまうのは、もったいないですね。やはりそこはちょっと立ち止まって、ゆっくりと丁寧に弾く練習の仕方を身につけられたらいいなと思います。
また、たまに集中して練習できる日があるから、そうでない日はあまりやらないというのも、お勧めの練習の仕方ではありません。毎日のコツコツとした積み重ねは、ほとんど進歩が見えないかもしれないけれど、ある日大きな飛躍を生み出すものです。時々たくさん練習するというやり方は、結果的にあまり上達しなかったり、疲れてしまったりもしますね。もちろん、毎日練習している人が、時々ものすごく集中してたくさん弾くのは、とても素敵なことだと思いますが。
いきなり、あるいは時々、大きく足を開いて一気に進もうとするのではなく、普通の一歩ずつを歩き続けていくことが、楽しく上達していく一番の近道なのではないかなと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「我が子のピアノのファンでいること」2022年3月号
「親はどのように関われば良いのでしょうか?」とご質問をいただきました。とても大切で本質的な問いですね。おそらく正解は1つではなくて、子どもの性格や年齢や、進度や本気度や、その時のピアノへの向き合い方や、普段の親子の関係によっても違いますね。なので、これが正しい答えだと言うつもりはないのですが、私は次のように考えています。
ひと言でいえば、「我が子のピアノのファンでいる」のが良いと思います。その子のピアノを聴いているのが嬉しくて楽しいと思っていること、そしてその気持ちを伝えていることです。
子どもにとってご両親は世界で一番大切な人ですから、その人が自分のピアノを楽しんでいると感じれば、嬉しくてがんばろうという気持ちにもなりますね。ピアノを弾くことは大切な人に喜んでもらえる良いことだ、と思うようにもなります。
上達させるポイントは意欲を持たせることだと思いますが、喜んでもらえるという意識は、意欲そのものになります。意欲があれば練習するし、練習すれは弾けるようになるし、弾ければ嬉しくてまたがんばろうと思う、そんな良い循環のベースになりますね。
おそらく保護者の皆様は、子どもがピアノを聞かせてくれれば嬉しいとお感じになっていると思います。その気持ちをそのまま持ち続けて、伝え続けていくことが、楽しく上達していける関わりなのではないかと思っています。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「春休みには、いつもより少し多めに練習出来たら良いですね。」2022年4月号
当たり前のことですが、ピアノが上手になるためには、ピアノを弾くしかありません。もちろん、色々な音楽を聴いて感受性を磨いたり、イメージを膨らませたり、楽譜を見て曲の構造を考えたり、練習の方法を考えたりすることも、上達のための大事なポイントですが、それら全てで得たものを「弾く」という行為で表すことでしか、ピアノは成り立たないのですね。
ピアノを習うということは、レッスンを受けるだけで完結することではなくて、「何度も弾く」ということをやり続けることなのだと思います。お家で何度も練習する毎日を続けることが、ピアノを習うということなのですね。
もちろん練習は、集中して行った方が良いのは決まっていますが、たとえ集中していなくても弾かないよりは弾いた方が良いし、1回か2回だけ弾くよりも何度も弾いた方が良いです。面白いもので、とにかく何度も弾いていると、ある時ふっと次元が変わって、指が勝手に動くようになります。そうなると、自然に気持ちよく弾けるようになって、それをさらに弾き続けていると、曲がより深く感じられるようになったり、もっと表現したいことが出てきたりもします。文句なく楽しいと感じられるようになるのですね。
春休みの今は、いつもより少し自由な時間が増えている生徒さんも多いことと思います。塾や部活などでいつもより大変な生徒さんもいると思いますし、それぞれご事情があると思いますが、もし可能なら、いつもより少し練習の時間を増やしてみるのも良いかもしれません。何度も弾いて上手になれるこの春休みの時間を、生かしていけたらいいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「意欲を育てるということ」2022年5月号
ピアノを上達させるものは、何といっても毎日の練習です。そして練習の習慣を長い期間持続させたり、質を高めさせたりするものは、意欲なのだと思います。子どもが小さいうちは、やらなければ叱られるとか、やるとご褒美がもらえるとか、やらなければならないことだと教えられたから、という理由で練習することもできますが、ある程度大きくなって、自分で考えたり自分の意志を主張するようになってきた時にものを言うのは、やはり本人の意欲なのですね。
ですから、ピアノが上達できるように働きかけるということは、知識や技術を伝えることだけではなく、意欲が育つような言葉や態度を示していくことでもあるのだろうと思います。もちろん無理にでも練習させて、短い期間に弾けるようにさせなければならないこともありますが、そういう時にフォローを忘れてしまうと、長い目で見た時にあまり良い結果を生まない場合もあります。
では意欲を育てるための働きかけとはどういうものかと言えば、ひと言で言うと「その子とその子のピアノを肯定的に見続ける」ということだと思います。具体的には、出来ていない所に目を向けるよりも、出来ている所に目を向けること。その上で、さらに綺麗にするために出来ることとして、まだできていない所を教えてあげること。もしそこが出来るようになったら、一緒に喜ぶこと。そしてそんな過程を、大人も楽しんでいること。
意欲というのは目に見えない心の働きですが、感じることは出来ます。同じように、その子がピアノを弾いていることを嬉しいと感じる大人の気持ちは、子どもにも伝わりますね。大好きな人が、自分のピアノを喜んでいると感じられれば、さらに意欲もわいてくるというもの。音楽は人生を豊かにするためにあるのですから、出来ることも、出来ないことも、出来ないことを出来るようにしていく過程も一緒に楽しんで、ピアノへの意欲を育てていけたらいいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「歩みを止めないこと。」2022年6月号
「毎日練習してね」と、生徒さんたちには当たり前のように言っていますが、実はこれはとても大変なことですね。ある程度弾けるようになって、生徒さん自身が、自分の趣味(=楽しいこと)のひとつだと思えるようになるまでは、遊びたい、ゆっくりしたい、という気持ちを優先させたくなるのも自然なことだと思います。
1日2日と練習をしないでいるうちに、気づくと1週間。それが2週3週と続くうちに、練習しないのが当たり前になって、ピアノをやめようかと考えるようになる・・・というのも、ありがちなパターンではあります。もちろんピアノが弾けなくても人生全く困らないので、やめるというのもひとつの選択だと思いますが、これはちょっともったいない気もします。というのは、ちょっと腰を上げさえすればクリアできる問題なのですね。
毎日練習するというのは確かに大変なことですが、大変だと思わなければ大変ではないという面もあります。これは気持ちの問題でもありますが、もっと現実的に、たとえば練習時間や練習量をぐっと少なくすれば、あまり大変だと思わずに練習出来るかもしれません。1回弾くだけでも弾かないよりはずっと良いし、まずは練習習慣をつけることへの一歩になるかもしれません。また、やっているうちにやる気が出てくることもあって、これを「作業興奮」というそうですが、毎日1回でも弾いているうちに、ある日ちょっと長く出来る日が来るかもしれません。とにかく腰を上げることから全ては始まるのですね。
一度歩みを止めてしまうと、もう一度歩き出すのにはエネルギーがいります。大変な時は少しずつでも、歩みを止めずに歩き続けていけたらいいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「発表会までの時間を、がんばる機会に出来たらいいですね。」2022年7月号
発表会まで、あと1か月半となりました。もうだいたい弾けて余裕のある人もいると思いますが、焦っている人もいるかもしれません。
人前で演奏するというのは、なかなか大きなイベントですから、インパクトの強い経験になります。大きな経験は、どんな結果であっても得るものが大きいと思いますが、出来ることなら気持ちよく演奏して、自信を深める体験になってほしいですね。
そのために出来ることは、もう練習しかありません。この時期は、いつもよりも長めに練習したり、練習の回数を増やしたりして、とにかく何度も弾いてみることもお勧めです。何に気を付けて弾いたらよいかについても、いつも以上に考えることが出来るかもしれません。「自分はあんなにたくさん練習したのだ」と思えたら、本番での自信にもなりますね。
常に全力でがんばっていると疲れますし、生徒さんたちにはピアノ以外にもやることがたくさんあって、その中でそれぞれ自分のピアノのペースを作っています。ですからいつも無理する必要はないと思いますが、たまには思い切りがんばる力を発揮してみるのも、良いのではないかなとも思います。もしかしたら、自分はこんなにすごい力があるのだと気づいて、やる気と自信がアップする機会になるかもしれません。発表会までの時間を、思い切り力を発揮してがんばる機会にして、さらに伸びてくれたらいいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「急がばまわれ。基礎力は意欲の持続のためにもとても大切です。」2022年8月号
ピアノを始める時の子どもは、皆期待でいっぱいです。でもしばらく経つと、やる気が薄れてしまう場合もあります。練習の習慣がつかないと、なかなか弾けるようにならないので、当然やりたくなくなってくるのですが、練習しているのに意欲がなくなることもあります。そういう場合にしばしば見られるのは、基礎力がついていないということです。
例えば楽譜を見ても何の音か分からなければ、弾けない、メンドクサイという気持ちになりますし、音は分かってもリズムが理解できなければ、何だか変だし上手く弾けなくて嫌、と思ってしまったりもしますね。自然な手や身体の動かし方が出来なければ、弾いていて疲れる、気持ちが悪い、ということも起きてきます。
なぜこういうことが起きるのかというと、ちょっと逆説的な言い方になりますが、おそらく上手になろうとするからなのだと思います。それも出来るだけ早く弾けるようにしたいという気持ちから、基礎を無視してしまうのですね。子どもにとっては楽譜を読むより覚える方が簡単だし、ピアノを弾く手を作るよりいつもの動かし方をする方が楽ですから、そのひと手間を飛び越えてショートカットしたくなる気持ちは、とてもよく分かります。でもここは、「急がばまわれ」です。慌てずじっくり腰を据えて基礎力をつけていくことが、実は一番の近道なのですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「本番でのミスは気にしない。」2022年9月号
誰だって、本番で間違えるのは嫌ですよね。でも、思いもかけない所でミスをしてしまうこともあるのが、本番というものです。
もし本番で間違えたらどうしたらよいのか、というのは誰でも気になることだと思いますが、それはもう「気にしない」のひとことなのではないかなと思います。弾いている時にミスをして、それを気にしてしまうと、ミスがミスを呼んでしまうこともあります。音楽はどんどん先に進んでいきますから、過去を振り返っている暇はありませんね。
弾き終わった後にミスについて考えるとしたら、感情を交えずに冷静に分析して、「次に生かせる経験が出来て良かった」と考えればよいのだと思います。ここで落ち込んだり反省しすぎたりして本番を楽しめなくなってしまったら、もったいない気がします。
もし本番でミスなく弾くことが、いつも誰にでも手の届く簡単なことだったら、プロのピアニストというものは成立しないのかもしれません。本番は緊張して当たり前。いつもはしないようなミスが出てきても、それも当たり前のことですね。
私たちはプロの演奏家ではないのですから、ミス云々よりもまずは自分が楽しむことを考えても良いのではないかなと思います。自分の感じている音楽を気持ちよく演奏して、もっと音楽を楽しみたいと思うことが出来たら、きっと音楽とともに歩んでいける人に成長していけますね。
音楽は人を幸せにするものなのですから、まずは自分が楽しみましょう。
(とはいえ、やはり出来ることならミスはしたくないもの。ミスを減らしたり大きく崩れたりしないようにするためには、基本の練習を繰り返すことと場数を踏むことかなと思います。)
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「実力に見合った曲で、完成度を上げること。」2022年10月号
「この曲が弾きたい」と思う気持ち。とても大切ですね。ピアノを続けていくための原動力ともなるこの気持ちは、育てていきたい力のひとつだと思います。
ただここにはちょっと気を付けた方が良いこともあります。あまりにも実力とかけ離れた曲を弾こうとすると、複雑すぎて弾けないということも起こってくるのですね。たとえ何とか弾くことは出来ても、たどたどしい弾き方になったり、部分によって速さが変わったりして、見ていて大変そうな演奏になってしまうこともあります。ちょっとの背伸びは上達を促しますが、難し過ぎると読譜や指使いや手の動かし方等の基礎を無視せざるを得なくなって、上達という意味では逆効果になってしまうかもしれません。
ではどの位のレベルの曲ならよいのかが気になる所だと思いますが、一つの目安はテキストの進度かなと思います。楽譜を見た時に訳が分からない曲は、やはり難し過ぎることが多いですね。
とはいえ、「この曲が弾きたい」という気持ちは、心の内側から湧いてくる欲求です。難しくてもどうしてもやりたいという強い意志がある場合には、ちょっとイレギュラーですが尊重したいと思っています。コツコツと長い期間がんばった結果、難し過ぎると思った曲がきれいに弾けるようになることもあって、自信を深めるよい機会にもなりますね。人任せにしないで自分でがんばる強い気持ちが持てるなら、無謀な願望に思えたことも果敢な挑戦になるのかもしれません。
けれども基本的には、あまり背伸びをし過ぎないで今の実力に見合った曲を弾くことをお勧めしたいと思います。完成度を上げることを目指す練習の中で身につくものは大きいのです。
弾きたい曲と弾ける曲の間にギャップがあるのは、ちょっと辛いことかもしれませんが、目標が出来るということでもあるのだと思います。毎日コツコツと練習を続ければ実力は上がっていくのですから、いつか憧れの曲に手が届く日を夢見て練習を続けるのも楽しいのではないでしょうか。成長して上達していく自分を信じて、毎日の練習を続けていけたらいいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「生活時間や環境、声のかけ方を工夫すること。」2022年11月号
練習は無理やりにでもさせた方が良いのか、というのは難しい問題ですね。無理にでも練習させることで上達することは確かにあります。実際、「とにかく練習させられたおかげで今があります」、というピアニストの方のエピソードをきくこともありますね。ピアノはお家での練習を前提とした習い事で、練習しないと弾けるようになりません。弾けなければ面白くないし、面白くなければ練習する気が起きないし、練習しなければ全然上達しない・・という良くないスパイラルに陥ってしまいますから、練習はぜひともしてほしい所なのです。
けれども、無理やりやらされることに抵抗感を覚えるのも当然の心理で、それでピアノが嫌になってしまっては元も子もありません。ピアノを弾くことで幸せな人生を送ってほしいと願う街のピアノ教室としては、習ったことでピアノが嫌いになるのは一番残念な結果だと思います。
それではどうしたらよいのかといえば、練習のさせ方を工夫する、ということになるでしょうか。具体的には、練習しやすいように生活時間や環境を整えたり、声のかけ方を工夫する、ということになると思います。
例えば、のんびりしている時に腰を上げて練習を始めるのは大変でも、何かをし終わってまだ勢いが残っているタイミングでそのまま練習にもっていくと上手くいくこともあります。ピアノのまわりは、散らかっているよりは綺麗な方がよいし、ピアノの蓋をあけたままにしておくと練習しやすい場合もありますね。これからの季節なら、ピアノのある部屋をあらかじめ暖かくしておくのも有効かもしれません。
声のかけ方で言えば、「練習しなさい」という言い方よりは、「練習しているのを聴くのが好き」という言い方の方が素直に受け入れられるでしょうし、少し大きい子どもなら、練習することの意味を納得できるように伝えることも大切かなと思います。
大人が子どもの行動をコントロールできる期間は、そんなに長くありません。小さいうちは大人が練習を促す必要があると思いますが、それは子どもが自分から練習できるようにするための道筋を作っているということなのかもしれませんね。練習のさせ方を工夫することは、怒るよりも頭とエネルギーを使いますが、その分より良い結果を生み出す対応なのではないかと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「どんな工夫をして練習しているか生徒さんたちに聞いてみました。」2022年12月号
ピアノパーティーのプログラムのページが余ったので、思い付きでアンケートを取ってみました。
その中で、「やる気が出ない時、どんな工夫をして練習していますか」ときいてみたのですが、色々なアイディアが出てきて面白かったのです。
答えを大きくまとめると「気分転換する」「ちょっとやってみる」「ご褒美を用意する」「誰かに促してもらう」という、4つ位になるかなと思います。
「気分転換する」というのは、この場合、ピアノを弾くのを億劫に感じる気持ちから、弾こうという気持ちへの切り替えのことですね。他のことをやって集中することによって気持ちを前向きにしたり、身体を動かしたり、外の空気を吸ったりすると、確かにやる気も出そうです。同じ気分転換でも、休んでしまうとかえって行動しにくくなるかもしれませんが、眠い時や疲れている時には、まず休んでそれからやるというのは、とても大事なことだと思います。
「ちょっとやってみる」という所には、動画サイトで演奏を聴いたり、レッスンとは関係ない曲を弾いてみたり、ピアノの椅子に座ったりということ等を入れてみましたが、とりあえず始めてみるとやる気が出てくるというのは「作業興奮」と言われる脳の仕組みなのだそうです。何か作業を始めると、視覚や触覚からの刺激で脳から神経伝達物質が分泌されるそうなのですが、この物質にはやる気や集中力をアップさせる作用があるのだとか。「とりあえずやってみる」というのは、理にかなった工夫のようですね。
「ご褒美を用意する」のは、考えただけでも楽しくてやる気が出そうです。このアイディアを考えてくれた生徒さんのように、練習しようという意志がしっかりとある場合には、自分でご褒美を設定するのも、より練習を楽しくする工夫として良いですね。ただ、報酬系の工夫というのは、やり方次第では逆効果になることもあるので、ちょっと気を付けた方が良い面もあります。ご褒美が目的になってしまったり、練習することが自分自身の課題ではなくやらされているものになってしまうと、よけいにやる気がなくなる場合もあるのですね。
「誰かに促してもらう」というのも、練習することが自分の課題だと意識されている場合には、良い工夫だと思います。やるように言ってもらおうと自分で決めていれば、練習に向かう背中を押してもらう、スイッチみたいな声掛けになりますね。同じ声掛けでも、やらされている感を感じてしまうと逆にやりたくなくなる場合もありますから、どんな声かけをしてもらいたいか、子どもに聴いておくもの良いかもしれません。
「どんな工夫をしていますか?」と聞いた時に色々な答えが返ってきたのは、みんなそれぞれに練習したくない気持ちと練習しようと思う気持ちの葛藤を経験しているからだと思います。みんな、がんばっていますね!
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「1年の締めくくりにピアノを続けている自分を褒めよう。」2023年1月号
今年も残りわずかとなりました。毎回当たり前のようにレッスンをしていますが、ピアノを続けている生徒さんたちのすごさを改めて感じています。
ピアノはその場に行ってやればよい習い事ではないので、お家での練習をやり続けるというのは、おそらくものすごくエネルギーのいることだと思います。何だかやる気が出ない日もあるでしょうし、塾や部活や他の習い事もある中で、時間のやりくりをするのも大変ですよね。そんな中で続けている生徒さんたちと保護者の皆様の努力は、並大抵のものではないのだと思います。
けれども、続けていれば先が開けてくるのは確かですね。なかなか練習出来なかった子が、何かのきっかけでスイッチが入ったように練習し始めることもありますし、進み方がゆっくりだった子が、読譜が出来るようになった途端にぐんぐん進み始めることもあります。ほとんど練習していない生徒さんも、考えてみれば、続けていなければ絶対に弾けない曲を弾いているのですよね。もしかしたらちっとも上手にならないと嘆いている生徒さんもいるかもしれませんが、続けていればどこかで次の展開が待っているのだと思います。
もちろん、他にもっとやりたいことが出てきたりしてピアノをやめるというのも一つの選択で、それが良くないということでは全くありません。ただ、続けている人は続けていること自体に自信と誇りを持ってよいのではないかなと思います。1年の締めくくりに、ピアノを続けている自分を褒めて、また新しい1年を歩み始めていけたらいいですね。
今年も保護者の皆様にはレッスンにご協力をいただきまして、本当にありがとうございました。来年もまた、楽しくレッスンしていけたらと思います。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!