毎月教室で発行しているニュースレター掲載しているコラムのうち2023年のものをこちらにも掲載いたします。
2015年8月から2019年12月までのものはこちらに掲載しております。
2020年のものはこちらに掲載しております。
2021年ものもはこちらに掲載しております。
2022年ものもはこちらに掲載しております。
98.「意欲を持続させるための仕組みや刺激はやはり必要。」2023年2月号
99.「「練習への声掛けは成長したい気持ちへの手助けのひとつ。」2023年3月号
100.「進級進学の季節。ピアノを拠り所のひとつにしてくれたいいですね。」2023年4月号
101.「『毎日練習する』と決めてしまうこと。」2023年5月号
102.「手が覚えて弾けるようになるためには反復練習が必要ですね。」2023年6月号
103.「やる気と練習は循環構造。まず練習してやる気を出しましょう。」2023年7月号
104.「ピアノは間違えないために弾くものではない。」2023年8月号
105.「発表会で弾いた曲は時々弾いてレパートリーにしよう。」2023年9月号
106.「大変でもやりたい思う気持ちを育てることが大切。」2023年10月号
107.「指使いを守ろう。」2023年11月号
108.「楽譜を見て弾こう」2023年12月号
109.「ピアノを楽しむために、練習を習慣化しよう。」2024年1月号
「意欲を持続させるための仕組みや刺激はやはり必要。」2023年2月号
何事もそうだと思いますが、ピアノを上達させる力となるものは本人の意欲なのだと思います。「上手に弾きたい」「きれいに弾きたい」「上手になりたい」という気持ちがあるから、毎日の練習を続けられるのですよね。
ピアノを始めた最初の頃は、新しいことへの興味と、すぐに上手になれるのではないかという期待とで、意欲満々です。でもしばらく経つと、そんなに簡単ではないことも分かってくるし、毎日練習することの大変さも分かってきて、意欲が落ちてくるというのもありがちなことですね。読譜力やある程度のテクニックがついて、弾きたいと思った曲に手が届くようになってくればピアノへの取り組み方も安定してきますが、それまでは意欲を持続させるための仕組みや刺激が、やはり必要なのだろうと思います。
レッスンノートを使って毎日の練習の記録をつけたり、certificateを貼ったりすることは、それぞれ意欲を持続させるための仕組みで、上手く機能すればそれなりに力になるのではないかと思います。とはいえやはり毎日のことというのは惰性に走りがちでもありますね。
そういう意味で分かりやすく意欲を上げるものは、やはり発表会ではないかと思います。目に見える目標を作ってがんばろうという気持ちになってもらうことは、発表会の大切なねらいのひとつなのですね。もちろんそれが負担になってピアノが嫌になっては元も子もないので、全ての生徒さんにとって良いとは言い切れないと思いますが、意欲を維持してさらに高めていくためにも積極的に活用していただけたらと思います。
それ以外にも、ピアノを習っているお友達と今練習している曲の話をしたり、お友達同士で弾き合い会をしたりするのも良い刺激になると思いますし、親戚のお家に行った時などに弾いて褒めて頂く経験も、意欲のもとになるのではないかと思います。
子どもの意欲、やる気というものには、波もあるし場合によってはしぼんでしまうこともありますが、仕組みを作ったり意識して刺激を与えたりすることを通して、育てることが出来るものだとも思います。意欲を育てるために、出来ることを色々やっていきたいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「練習への声掛けは成長したい気持ちへの手助けのひとつ。」2023年3月号
「練習しなさいと言わないと、やらないのです」というお話を時々伺います。自分から練習するようになってもらいたいと思うのは当然だし、声掛けをすることで雰囲気が悪くなったりケンカになってしまったりするのは嬉しいことではありませんね。
とはいえ、自分から練習をするというのが理想ではあっても、理屈通りにはいかないのが日常生活というものでもあります。やらなければと思っていてもついダラダラしてしまうのも当たり前と言えば当たり前で、そんな時に練習のきっかけ作りとして声掛けが役に立つなら、それは決して悪いことではないと思います。
声を掛けられるのを嫌がる場合、おそらくそれは声を掛けられるのが嫌なのではなく、「強制されるのが嫌」「怒られるのが嫌」ということなのではないでしょうか。それなら、強制と感じさせず、怒られていると感じさせない声のかけ方を工夫すればよいのかもしれません。
例えば、何時になったら声をかけるのか、どんな言葉で言ってほしいのか、子どもの気持ちを聞きながら一緒に考えて決めておけば、強制されたという感覚はあまり持たずにすむのではないかと思います。
怒られていると感じてしまうのは、やはり言う側にイライラした気持ちがあるからだと思いますが、それも当たり前のことだと思います。やらなければならないことをやらない我が子を見ているのは、なかなかしんどいものですよね。私自身は、アドラー心理学の「課題の分離」という考え方が好きで、ピアノの練習をするのは「子どもの課題」だと考えています。これは全て子どもに任せて口も手も出さずに放任するということではなく、子ども自信の成長したい気持ちを信じて、その子が望む手助けには力を惜しまないということなのではないかなと、全く自分流に解釈しています。
もちろんこれが誰にとっても正しい考え方なのだと言うつもりはありませんし、それぞれのご家庭にとっての正解があるのだと思いますが、こんな考え方もあるという一例として頭の片隅に置いていただくのも良いのかなと思います。
練習への声掛けを、成長したい子どもに寄り添う手助けのひとつとして活用できたら、子どもにとっても安心感のある、親子での練習への取り組みになりそうな気がします。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「進級進学の季節。ピアノを拠り所のひとつにしてくれたいいですね。」2023年4月号
春は進学進級の季節ですね。新しい世界に入っていく生徒さんは、ワクワクした気持ちと同時に、少しだけ不安も感じているかもしれません。ピアノの先生としては、そんな時にこそ、ピアノを気持ちの拠り所のひとつにしてくれたらいいなと思います。
ピアノが弾けること、弾いて楽しめることは、素敵なことですね。そんな何かを持っている自分を誇ることは、決して傲慢なことではないと思います。それに、そこに至るまでの練習を続けてきた日々の積み重ねは、誰にも否定できないすごいことですから、それだけのことをやっている自分に、自信を持って良いと思うのですね。
もし、「あまり練習していないし、自信なんて持てない」と感じる生徒さんがいるとしたら、そう思うこと自体が素敵なことだと思います。なぜならそれは、練習した方が良いと思っているから出てくる感覚で、その向こうには成長したい気持ちがあると思うのです。本当はピアノが上手になりたい気持ちを感じているからこそ、練習していないことにうしろめたさのような気持ちを感じてしまうのですよね。そんな気持ちを持っていること自体が素敵なことなのですから、今はあまり練習出来なくても、成長したい自分を信頼して良いのではないかなと思います。
それに本当は、根拠などどうでもよいのですね。生徒さんがレッスンに来てくれると嬉しいのは、その子に会えることが嬉しいからで、どの生徒さんもそれぞれに素敵な人たちです。ただそこにいるだけで周りを嬉しくする力を持っている自分に自信を持って、新しい世界でも楽しく過ごしてくれたらいいなと思います。
進級進学おめでとうございます。また新しい気持ちで今年度も楽しくレッスンしていきたいですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「『毎日練習する』と決めてしまうこと。」2023年5月号
新年度も少し落ち着いてきた頃かと思いますので、ごく基本的な確認をしておきたいと思います。
いつも「毎日練習してね」と言っていて、レッスンの約束ということにもしていますが、「そんなのムリ」「毎日じゃなくてもいいと思う」という気持ちになることもありますよね。もちろん旅行の時や体調の悪い時などは練習できませんが、それ以外の日はやはり、毎日練習することをお勧めします。というのは、毎日練習するのは一番楽な上達方法だからです。
「練習する→弾ける→嬉しい→また練習しようと思う」という良い循環を生み出してしまえば、ピアノに向かうことはぐっと楽しくて楽になります。反対の循環は、「練習しない→弾けない→つまらない→やる気が出ない」というもので、こうなってしまうとピアノに向かうことはなかなか大変になりますね。
そうは言っても、色々な習い事や、塾や部活や、もちろん遊ぶ時間も必要な子どもたちは毎日忙しいですし、ピアノを楽しいと感じる日ばかりではないのも当たり前です。けれども、練習すれば弾けるようになることを体験的に理解していれば、「ちょっと疲れたけれど今日も練習しよう」という、意志の力を働かせることも出来るようになりますね。
それに、練習が習慣化していれば、腰を上げやすくなるのも確かです。毎日練習していると、生活の中に自然と、練習しやすい時間がスケジュールされていくようです。
ではそうなるためにどうしたらよいのかと言えば、これは単純に、「毎日練習する」と決めてしまうことだと思います。出来ない理由はたくさん思いつくと思いますが、とりあえず何も考えずに決めてしまうのですね。物理的に出来ない日は当然ありますが、そういう日は例外として、毎日練習するのを当たり前にしてしまえば、上達を実感しながらピアノと関わり続けて、ピアノのある人生を楽しめる人に成長していけるのだと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「手が覚えて弾けるようになるためには反復練習が必要ですね。」2023年6月号
毎日練習しているのに、なかなか弾けるようにならないことがあります。こういう時、毎日どの位練習しているかきいてみると、1日1回とか1日3分とかいうことが多いのです。もちろんそれでもやらないよりはずっと良いのですが、やはりスムーズに弾くためには、練習の量を確保することが必要ですね。
よく「指が覚える」とか「手が覚える」とかいう言い方をしますが、頭で考えなくても手が動くようになってくると、「この曲が弾けるようになった」「上手に弾けるようになった」と思えることが多いようです。どんな楽譜も見たらすぐにすらすらと弾ける、というのは夢のような理想的な話ですが、やはり手が自然手に動く状態にするまでには、何度も練習しなければならないのです。手に動きを覚え込ませるのですから、反復練習というものがどうしても必要なのですね。1日1回では当然反復にならないし、3分で繰り返し弾ける曲はごく短い曲だけになってしまいます。
時々あまり練習しなくても弾ける人がいて、羨ましいなと思うのですが、おそらくそういう人たちに話をきいたら、そうなるまでにものすごくたくさん練習したと言うのではないかなと思います。何事も努力なしでは成り立たないものですよね。
とはいえ、子どもたちの毎日はピアノだけで成り立っているわけではありませんから、そんなに何度も弾いていられないということも、たぶんあるのだと思います。それぞれが自分にとって楽しいピアノとの付き合い方を作っていくことで、ピアノのある毎日を送り続けることが大切だと思いますから、いつも誰もがそこそこ長い時間の練習をするべきだとは思わないのですが、たくさん練習を繰り返すことで開ける世界があることも確かです。
ならば発表会など人前で演奏する機会を生かして、いつもよりたくさんの反復練習を重ねてみるのも良いのではないでしょうか。時にはちょっとがんばって自分の成長を実感してみるのも、楽しいものですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「やる気と練習は循環構造。まず練習してやる気を出しましょう。」2023年7月号
自分から練習しない子どもを見ていると、やる気がないのだろうかと考えてしまうこともありますね。もちろんやる気があれば積極的に練習すると思いますが、一方で、練習するからやる気が出るという逆の側面があるのも確かです。タマゴとニワトリではありませんが、やる気と練習というのは循環構造になっているのですね。
性格的に、目の前のことを成し遂げることに楽しさを感じるタイプの子もいて、そういう子は何も言わなくても自分から練習して上達していきますし、もともと音感やリズム感が良くて、最初からピアノを弾くことに喜びを感じて取り組む子もいます。けれどもなかなかそうはいかないのが一般的で、習い始めの物珍しさが落ち着いてくると、とたんに練習しなくなってくるというのも、ありがちなパターンではあります。でもここで、やる気がないと思ってしまうのは早計というもので、そこからやる気を育てていくことが、ピアノ教育の基盤になるのかもしれません。
ごく簡単に言ってしまえば、やる気は練習すれば出ることが多いのですから、やる気云々以前にまず練習すればよいのですね。それが大変なのはもちろんよく分かっているのですが、とにかく練習して、それを毎日続けられれば、自然と弾けるようになって、楽しくなってやる気が出てくるというものです。
とはいえ、練習させようとしてやみくもに叱ったり怒ったりしても、そういうやり方が通じるのはそんなに長い期間ではありませんし、逆にピアノを弾くことに嫌なイメージを持たせることにもなりかねません。練習させるための工夫というものは必要で、一緒に時間を決めたり、練習している時そばにいてあげたり、弾けるようになったところをほめてあげたりと、出来ることは色々ありそうです。
練習しないという選択肢を作らずに、歯磨きをするのと同じように毎日練習することが習慣になったら、ピアノも上達していくでしょうし、ピアノを通して成長していくことも出来ると思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「ピアノは間違えないために弾くものではない。」2023年8月号
発表会が近づいてきました。もしかしたら焦りを感じている生徒さんもいるかもしれませんし、間違えたらどうしようと不安になっている生徒さんもいるかもしれません。
誰だって人前で間違えるのは嫌ですから、そんな気持ちになるのはよく分かります。焦りや不安があるからさらに練習に励めるという側面があるのも確かで、それは決して悪いことばかりの感情ではありませんね。
とはいえ、間違えることをすごく大きな失敗だと感じる気持ちは、日本人特有の生真面目さや恥の文化から来る所もあるのではないかという気もします。もちろん間違えないで弾けるように練習を重ねて本番に向かうのですが、それでも間違えることはあるし、そこにとらわれてしまうと、演奏することが怖いことになってしまいかねません。
そもそもピアノは間違えないために弾くものではなく、自分や周りの人を幸せな気持ちにするために弾くものですね。まずは自分が楽しさや気持ちの良さを感じられることが一番で、間違えるとか間違えないとかは、そのあとに出てくる問題なのだと思います。
ならば間違えないことを目指すのではなく、たとえば曲の中の1か所、このクレッシェンドで盛り上げるとか、このフォルテに心を込めるとか、自分にとって大切な場所が気持ちよく弾けることを目標にして、それが出来たら多少間違えったってOKということにしても良いと思います。もちろん曲全体を通して音楽を感じてミスなく弾き続けられたら、こんなに幸せな時間はなかなかありませんが、私たちはプロの演奏家ではないのですから、まずは手の届きそうな目標を設定するのが良さそうです。
発表会で間違えて絶望感に打ちひしがれた・・みたいな話も時々耳にしますが、間違えることを恐れてガチガチになるよりは、まずは楽しんでいきましょう。お客様は皆、生徒さんたちの成長を見守ってくださっているあたたかい方たちです。大らかで寛容な空間の中で、自分の感じたものを表現することを目標にして本番に臨みましょう。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「発表会で弾いた曲は時々弾いてレパートリーにしよう。」2023年9月号
発表会ではあんなに上手に弾けた曲なのに、しばらくしたら弾けなくなっていたということ、ありませんか?何か月も練習をした曲ですから、弾けないままにしてしまうのはもったいないですね。
弾けなくなってしまったと思っても、練習したことは身体が覚えていますから、少し集中して弾いてみれば、また弾けるようになるものです。もう弾けないのだと諦めてしまわないで、そこはあと一歩踏み出して、練習してみるのが良いのではないかと思います。
でもそんなことが起こる前に、忘れないようにしておく方法もあって、それをやっておけばいつまでもその曲を楽しむことが出来ます。やり方は簡単で、時々弾いてみればよいのです。1週間に1度でも、2週間に1度でも、忘れる前に弾いて思い出しておけばよいのですね。もちろん発表会の前のように気合を入れなくても良いので、どんな音だったか、どんな指使いでどんな風に弾くのだったかを、確認しておけばよいのです。忘れてきたなと思ったら、その時はちょっと真剣にさらっておけば、いつの間にかその曲は自分のレパートリーになっていきますね。
発表会のたびに1曲ずつ弾ける曲が増えていったら、ピアノとの毎日はより楽しくなって、自信も持てるというもの。レパートリーを育てていく気持ちで、発表会で弾いた曲は時々メンテナンスしておくのがお勧めです。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「大変でもやりたい思う気持ちを育てることが大切。」2023年10月号
ピアノを続けるというのは、大変なことだと思います。たとえ簡単な曲であっても、弾けるようになるためには音符を読まなければいけないし、指を動かす練習をしなければならないし、楽語の知識も身につけなければなりません。がんばって1曲が弾けるようになれば、また次の曲を一から譜読みして指が慣れるまで練習するには時間も労力もかかります。正直めんどくさいと思うのも当たり前で、なんでこんなことをしなければならないのかと疑問を感じることもあるかもしれません。
小さいうちは大人のコントロールがきくので、無理にでもやらせることは出来ますが、少し大きくなってくれば、大人の目をかいくぐってサボることも覚えるし、反抗心も芽生えて言うことをきかなくなってきますね。長くピアノを続けるためには、その子自身の、大変でもやりたいと思う気持ちがどうしても必要なのだと思います。
では本人の気持ち次第なら、周りの大人には何もすることはないのかと言うと、全くそんなことはなくて、逆にやることは色々ある気がします。
例えば、どんなに未熟でも出来るようになっていることはありますから、それを見つけて「すごいね」と言ってあげること。同じ1回の演奏も、見方次第で、まだまだ出来ないことだらけの拙い演奏だと思うことも出来るし、間違えながらでも最後まで弾いた立派な演奏だと思うことも出来ます。指使いに気を付けたとか、指の形に気を付けたとか、一生懸命音を呼んだとか、間違えていた音を正しく弾いたとか、その1回の中で出来たことを見つけることで、自分は上手になる道を歩んでいるのだという気持ちを持たせることは、意欲を育てる上で大事なことですね。
また、子どもは、大好きなご両親に喜んでもらえるのが何より嬉しい人たちですから、その子のピアノを聴くのが嬉しいのだと伝えることも、やる気アップのポイントだと思います。
そして、この子は出来る子だと思い続けることも大切ですね。子どもは、大人が自分をどう思っているかについて、とても敏感です。信頼している大人が信じてくれていると思えば、自信も増しますね。
目に見えない意欲を育てることは、手間も時間もかかることかもしれませんが、実は何より大切なのではないかなと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「指使いを守ろう。」2023年11月号
今回は指使いについてのお話しです。
レッスンをしていて時々出会うのは、指使いを守っていないために弾けない・弾きにくい、という状況です。次の音に行きずらい指を使っているためにいつもそこで止まってしまったり、ごく稀には小指や親指を使わないで3,4本の指で弾こうとしているということもあるのです。これではとても弾きにくいし、そのまま練習してもおそらくスムーズにはならないので、そのうちめんどくさくなってしまうということにもなりかねません。音さえ合っていれば、指使いは適当でもいいと思ってしまうかもしれないのですが、実はそうではないのですね。
また少し弾けるようになってくれば、指使いは美しく弾くこととも密接にかかわってきます。滑らかに弾きたいフレーズで不自然な指くぐりをすれば、スムーズに動かすことは難しいし、和音をレガートでつなげたい時には、そのための指使いが必要になります。
実は指使いには基本のようなものがあります。特に音階や半音階やアルペジオや和音には定型となっている指使いがあるのです。定型というのは、長い年月、たくさんの人が弾いてきた中で定着してきたものですから、やはり手にとって自然な使いやすいものになっています。
また、黒鍵には出来るだけ親指を持ってこない方が良いですし、特に速い動きの場合に同じ音を連打する時には同じ指を使わない方が弾きやすくなります。そして基本的には出来るだけ少ない動きで弾ける指を使うことを考えた方が、スムーズに弾くことが出来るのですね。
もちろん一人一人手の大きさも形も違っていますから、誰にでもこれが絶対に良いと言い切れる指使いがあるわけではありません。けれども、自分にとって弾きやすくてしっくりくる指使いを見つけられるようになるためにも、特に初めのうちは楽譜に書かれている指使いの通りに弾いて、基本を身につけることは大切なのだと思います。
「急がば回れ」とことわざにも言われるように、楽譜を読む時には音だけでなく指使いも見る癖を付けておくことは、余計な苦労をしないで上達していくために大切なことです。指使いを守って練習して、まずは基本の指使いを身につけましょう。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「楽譜を見て弾こう」2023年12月号
今回は、楽譜を見て弾こうというお話しです。
「楽譜を見て弾ける」というのは、ピアノを習う上では当たり前のことだと思われがちですが、難しいことでもありますね。楽譜を見ずに覚えて弾く癖がついてしまうということも、しばしば起こりがちではありますし、実際それでも何とか進んでいける場合もあります。
けれどもやはり楽譜を見て弾く力はつけた方が良いですね。なぜなら、覚えて弾けるレベルには限度がありますし、楽譜を読んで弾ければ弾きたい曲に手が届きやすくなるからです。
楽譜を読まずに弾くということは、目や耳で覚えて弾くということです。初心者の頃はともかく、ある程度のレベルになってくると1曲の長さは長くなってきます。音域も広くなって、音やリズムの使い方も複雑になりますから、当然覚えるのが難しくなるのですね。感触としては、ブルグミュラーの中盤位になってくると、そんな壁にぶつかることが多い気がします。そうなるとなかなか弾けるようにならなくて、意欲も減退しがちになります。もちろんもっと難しくなっても覚えきれる生徒さんもいますが、一般的にはだんだん覚えきれなくなると考えた方が良いと思います。
それに今は、テレビや動画サイトなどで聴いて弾きたいと思うような曲のほとんどは、楽譜になっています。出版されている楽譜以外にも、ネットにも様々なものが出ていますから、検索してみるとほとんどの楽譜は見つけられることが多いようです。もちろん音感が良ければ、どんな曲も耳コピして弾くことは可能かもしれません。けれどもよほどの才能のある人でない限り、耳コピには時間とエネルギーがかかります。楽譜が読めれば、弾きたい曲に手が届きやすいというのは確かなのですね。
とはいえ、子どもは記憶力が良いので、特に初歩の短い曲の間はすぐに覚えてしまいますから、楽譜を見ないで手を見て弾く癖がついてしまう場合もあります。そうなると、手元から目を離すと不安で弾けないということも起こってきて、ますます楽譜を見なくなってしまいますね。
楽譜を見て弾けるようにするには、それなりに気を付ける点があるのです。それはとても単純なことで、習い始めの最初の頃から、とにかく楽譜を見て弾くということです。楽譜を見て弾けるようになるためには、楽譜を見て弾く経験を積むしかないのですね。もしすでにある程度のレベルの曲を弾いていて、楽譜を見ないで弾く癖がついているなら、まずは5指のポジションで弾ける簡単な曲を、手元を隠して弾く練習から始めるのが良いと思います。手元を見なくてもだいたいの位置が感じられる鍵盤感覚が身につくと、楽譜を見て弾くことへの抵抗感は小さくなってきます。
ちょっと大変かもしれなせんが、やはり手元ではなく楽譜を見て弾く癖をつけましょう。楽譜を見て弾いていれば、読譜力も育ってより弾きやすくなるのですね。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!
「ピアノを楽しむために、練習を習慣化しよう。」2024年1月号
年末になりました。生徒さんたちは今年もピアノを楽しむことができたでしょうか?どこかに楽しさがなければ、長く続けることは出来ないと思いますから、いつも皆それぞれのやり方で楽しんでくれたらいいなと思います。
ピアノを楽しむということは、友達と遊んで盛り上がる楽しさとは全く質の違うものですね。どんな曲もすぐに弾けるわけではありませんから、なかなか出来ないという障害のようなものを乗り越えなければなりません。その中で気づきや学びを得たり自分の成長を感じたり、その先にある音楽の深い喜びを感じたりすることが、音楽の楽しさかもしれないと思います。それは簡単に感じられるものではありません。音楽を楽しむためには、すぐには出来ないことに耐えてやる続ける力が必要なのですね。
ではそんな力をつけるものは何かというと、ごく簡単に言えば、まずは習慣づけだと思います。特に初心者の頃は、毎日少しずつやっていれば出来るようになる課題が続きますから、やっていくうちに出来るようになる体験を通して、やれば出来るようになるという見通しが持てるようになります。また、毎日の小さな積み重ねは、強い指を作り、読譜力を作ります。最低限の基礎力が身につけば自信もついて、精神的にも技術的にも出来るようになるまでのハードルは低くなりますね。
練習を習慣にしてしまえば、出来ないことに耐える力云々という以前に、すぐには弾けない曲に向き合って弾けるようにしていく過程を、当たり前のこととして受け入れられるようになります。毎日ピアノに向かい続けることで得られるものは大きいのですね。
年末年始は、せっかく付きかけた練習の習慣が崩れやすくなる時期でもあります。旅行や帰省やお出かけなど出来ない日はもちろんあると思いますが、出来る日には少しでも良いのでピアノに向かいましょう。練習するのが普通で出来ない日は例外、みたいに考えて練習の習慣を固めてしまうことが、おそらく一番楽なピアノを楽しむ道なのだと思います。
練習を通して、ピアノが弾ける喜びと自信をさらに大きく育てましょう!(^^)!